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【同一労働同一賃金】制度開始で企業に起こりうる危機と期待できない未来

2019年12月11日

【同一労働同一賃金】制度開始で企業に起こりうる危機と期待できない未来

こんな方におすすめの記事です

  • 同一労働同一賃金で何が変わるのか知りたい
  • 正社員としては、同一労働同一賃金に不満を感じる
  • 非正規雇用としては、同一労働同一賃金に期待をしている

同じ仕事をしているのに正社員と非正規労働者の給料が違うのは納得いきませんよね?

そこで、今期待されるのが同一労働同一賃金制度の導入です。

この記事では、同一労働同一賃金についての基礎知識やメリットやデメリット・企業の取り組みについての予想などについて紹介しています。

同一労働同一賃金制度は、労働者ファーストで素晴らしい取り組みですが、問題点も多く現実的には難しいと感じます。

  • 本当にうまくいくのだろうか?
  • 本当に給料は上がるのだろうか?
  • 本当に正社員と非正規労働者の賃金格差は埋まるのか?

このような悩みがある方は、ぜひ参考までにこの記事をご覧ください。

将来の動きや時代の流れを予測することで、今後の動き方が見えてきます。

同一労働同一賃金とは?

同一労働同一賃金とは?

同一労働同一賃金を簡単一言で説明すると、正社員と非正規労働者の格差をなくす取り組みです。

以下に示すのは、厚生労働省から正式に発表された同一労働同一賃金についての解説です。

同一労働同一賃金の導入は、同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者) と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。

同一企業内における正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消の取組を通じて、どのような雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択できるようにします。

出典:同一労働同一賃金特集ページ/厚生労働省

同一労働同一賃金の内容を整理

更に詳しく知りたい方は『同一労働同一賃金ガイドライン』で確認できます。

上記の内容を分かりやすく解説すると、「同じ仕事をしているのに正社員と非正規労働者で給料や福利厚生などの待遇が違うのはおかしいでしょ!」という話になります。

ごもっともな意見でしょう。

しかし、現実的には以下のような格差が今でも当たり前となっています。

正社員と非正規労働者の違い

  • ボーナスが無い
  • 家族手当が無い
  • 住宅手当が無い
  • 交通費が出ない
  • 昇給しない

私も派遣社員としてを8ヵ月ほど仕事をしていた経験があるので分かりますが、正社員にあって非正規雇用にはないものが多くあります。

しかし、実際の仕事では時正社員が派遣社員に仕事を教わることも珍しくありません。

どちらに味方するわけではありませんが、給料や待遇に格差があってはいけませんよね。

労働とは

価値や労力・時間や経験を提供することで報酬を得る仕組みです。

正規雇用・非正規雇用者に関係なく労働を提供して報酬を得ることに差別があるのは間違いです。

同一労働同一賃金の導入は、正当な労働条件を整えることで、個人が生活の安定を確保できる素晴らしい方針だと思います。

同一労働同一賃金の対象者や導入時期は?

同一労働同一賃金の対象者は以下の3つに該当する雇用形態に属する人になります。

  • パートタイム労働者
  • 有機雇用労働者
  • 派遣労働者

導入開始時期については、

  • 大手企業:2020年4月1日
  • 中小企業:2021年4月1日

の予定になっていますが、2020年5月現在では新型肺炎(コロナウイルス)の影響で進んでいないのが現実ですね。

同一労働同一賃金のメリットとデメリット

同一労働同一賃金のメリットとデメリット

同一労働同一賃金が導入されると聞くと良いことばかりを想像してしまいますが、デメリットも多く発生します。

ここでは、メリットとデメリットについて整理してみます。

同一労働同一賃金を導入することのメリット

まずはメリットから見ていきましょう。

メリット

  • 非正規雇用労働者の賃金が上がり生活が安定する
  • 仕事への意欲が増す
  • 正社員登用制度が普及する

給料が上がることで、やる気が上がる人が増えて生産性の向上が期待できます。特に工場などでは社員の大半を派遣社員が占めている場合が多いので大きな業績アップが望めます。

また、賃金が上がることで派遣社員の生活の確保と会社への定着率も増加することも期待できます。その結果、新人教育や仕事の指導などのロスが削減できます。これもまた生産性の向上につながること言えるでしょう。

次に考えられるのが、正社員登用の増加です。

派遣社員や契約社員を同じ待遇で雇用するなら正社員として雇用する方が圧倒的に企業としてはコスパが良くなります。

大手の企業を中心にこれから優秀な非正規労働者の正社員登用の動きがあると考えれらます。

同一労働同一賃金を導入することのデメリット

次にデメリットについて考えてみましょう。

デメリット

  • 正社員という働き方に魅力がなくなる(転職者の増加)
  • 派遣社員のコストが上がり、雇用が減少する
  • 正社員の仕事内容が多様化する

正社員と非正規労働者の給料や待遇が同じになると正社員側からすれば「正社員に魅力を感じない」ということになります。その結果、今の仕事に満足できない場合は、転職して楽しい仕事を求める人が増加することが予測されます。

我慢してストレスに耐えて仕事をする意味がなくなってしまうからです。

次に考えられるのが、派遣社員を雇用する企業が減少することです。

派遣社員を雇用する理由には以上のような理由があるとも思われますが、一番のメリットは「コストを安く抑えられる」ことですが、格差をなくさなければならないとなると雇用の減少が予測されます。

最後に考えられるのが正社員の業務の多様化です。

このことについては少し深堀して考える必要があるので、次に項目の中で詳しく解説していきたいと思います。

【同一労働同一賃金】制度開始で企業に起こりうる危機と期待できない未来とは?

【同一労働同一賃金】制度開始で企業に起こりうる危機と期待できない未来とは?

私の個人的見解ですが、同一労働同一賃金制度は大手の一部の企業でしか対応できずに多くの企業は今までと変わらないことが予測されます。

同一労働同一賃金制度が開始されると労働者には負担はあまりありませんが、企業は大きな損失を生むことになり、特に中小企業は対応できるとは思えません。

そこで、これから同一労働同一賃金制度を国から指導されて企業が行ってくると予想される取り組み(逃げ技)を考えてみたいと思います。

考えられるのは、次のような取り組みです。

企業の対応(予測)

  1. 社員の業務の多様化(差別化)
  2. 正社員の標準賃金の低下
  3. 非正規労働者の雇用減少
  4. リストラや早期退職の推進

それでは、詳しく解説していきます。

予測1:社員の業務の多様化(差別化)

厚生労働省の同一労働同一賃金のガイドラインに「労働者に対する待遇に関する説明義務の強化」という項目があり、以下のような文面が記載されています。

気になる内容なので、是非ご覧ください。

非正規雇用労働者は、「正社員との待遇差の内容や理由」など、自身の待遇について事業主に説明を求めることができるようになります。
事業主は、非正規雇用労働者から求めがあった場合は、説明をしなければなりません。

引用元:同一労働同一賃金/厚生労働省

私なりに上記の文を要約すると、給料やボーナス・福利厚生などに不満や疑問があれば雇用主(企業)に説明を求めることがこれからは可能になる。

このような解釈になりますが、これはおかしくないでしょうか?

「正社員と非正規労働者の仕事内容が同じ場合には、同一労働同一賃金を適用しなければならない」ということは、正社員の仕事をあえて差別化することで解消されてしまう恐れがあります。

回避できる例

  • 最終検査や判断は正社員にしか行わせない
  • 派遣社員の作業を限定する
  • ミスが起きた場合に正社員でないとリカバリーの権限を与えない

このような対応を行うことで、仕事の内容を差別化することができるので「同じ待遇ではありません」と言うことが可能になります。

しかし、このようなことが起これば正社員への仕事の負担は大きくなり退職者が増えると予想します。

予測2:正社員の標準賃金の低下

単純に考えると非正規労働者と正社員に格差をつけらなくなった場合、コストを下げるには全体的な支出を下げる必要が発生します。

結果的に企業が行う施策は、人件費を抑えることなので、正社員の給料やボーナスを下げるといった施策が考えられます。

予測3:非正規労働者を雇用しない

次に考えられるのが派遣やパートを雇わなくなることです。

企業は正社員と同じ待遇で非正規雇用の方を雇わなければいけなくなるので、支出の面から今までよりも派遣社員やパートの人を簡単に雇うことは難しくなるでしょう

正社員の雇用は増加するかもしれませんが、派遣や中途採用になると、今以上にスキルや経験・年齢などの制限が厳しくなるとが予想されます。

予測4:倒産の可能性

中小企業の場合は、単価が安い品を多く作ることで経営が成り立っている場合がありますが、必要不可欠になるのが人の確保です。

  • 安い賃金で人を雇用できなくなる
  • 人数調整が安易にできない

このような対応ができなくなり、人件費にコストを掛けれない企業は倒産へと追い込まれることが考えられます

上記4つの予測から考えられる未来予想

ここまでの企業が行うであろう4つの未来予測を整理すると、以下の結論になります。

予測できる未来

  • 大手の一部しか対応できない
  • 中小企業の待遇は現状と変わらない
  • 正社員の収入が減る
  • 正社員の転職者の増加
  • 派遣社員の雇用の減少
  • 企業の倒産

企業も対応したいのは当然ですが、会社の規模次第では同一賃金を払えないのが現実です。それがゆえに回避策は当然考えているはずです。

期待したい取り組み、同一労働同一賃金が確率するまでには時間が掛かると思います。

ブラック企業がいまだに後を絶たない状況で、正当な対応を行うとは思えませんよね。

まとめ:同一労働同一賃金に期待してみよう!

正社員と同じ仕事をしている人に対して正当な待遇を行うということは、正しい意見で素晴らしい取り組みだと思います。

しかし、あくまで賃金を払うのは国ではなく企業なので、対応は大変厳しいでしょう。

2020年以降は転職や就活にも何らかの影響が出ると予感されます。

政府も非正規労働者の生活を後押ししてくれているので「派遣やパートだから仕方ない」と思ってはいけません。

2020年4月1日以降は、労働条件に納得がいかない場合は「厚生労働省都道府県労働局雇用環境・均等部(室)」に相談してください。

同一労働同一賃金はまだ始まったばかりです。

今後に期待して泣き寝入りせずに、皆んなで労働環境を良くしていきましょう。

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  • この記事を書いた人

Masaya

はじめまして、フリーランスWebライターのMasayaです。 大手電機メーカーを転職後フリーライターとして、さまざまなジャンルの執筆に携わっています。ブログでは、これまでの経験から得たノウハウや情報を発信しております。

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